幻のフルーツ!美容効果の高いポポーの育て方と食べ方【農家さんからのアドバイスも】
お店で買えない幻のフルーツ、ポポーの育て方

最近、美容効果が高いとして、ポポーがちょっとしたブームになっていますね。
ですが、ポポーは完熟が速く市場に出回らないため、幻のフルーツとも呼ばれています。
今回は、そんな幻のフルーツ、ポポーの育て方をご紹介したいと思います。
一言に、ポポーの育て方といっても、まず気になるのが、
「ポポーとはどんなフルーツなのか?」
「ポポー栽培は難しいのか」
「管理に手間がかかるのか」
などがあると思います。
そこでこの記事では、
・ポポーとはどんなものなのか、その美容効果とは
・家庭菜園でも簡単にできるポポーの育て方
をご紹介していきます。
先に結論をお伝えすると、ポポーは農薬もいらず、-20℃程度まで耐えることができて寒さにも強く、管理も簡単なので、家庭菜園に非常に向いている果物です。
初心者の方におすすめの果物なので、もし興味を持たれているなら、ぜひ始めてほしいと思います。
さらに、栽培のプロであるポポー農家さんにも直接アドバイスを受けてきました!ぜひ参考にしてください。
この記事は、お忙しい方のために、目次の見出しを追うだけでも内容を理解できるようにしています。
詳しく知りたい方は、このまま読み進めていただくか、気になる小見出しをクリックしてみてください。
目次
ポポーとは?どんな味?食べ方は?

ポポーとは「森のカスタードクリーム」とも呼ばれるほど、完熟すると濃厚なクリーム状の果肉になるフルーツです。
樹皮や葉の部分に「アセトゲニン」という強い殺虫成分が入っており、害虫を寄せ付けません。そのため、ポポーの多くは無農薬で栽培されています。
実を収穫してから完熟するまでが1 週間ほどと非常に早く、完熟するととても柔らかくなってしまいます。
そのため流通が難しいことから「幻のフルーツ」とも呼ばれています。
最近では道の駅や、農家さんのサイトから直接購入出来るようにもなってきました。
肝心のポポーの果実の味は、マンゴーとバナナに少しパイナップルを加えたような味をしています。
熟した実は非常に甘みが強く、酸味はほとんどありません。若い実だと少し渋みが残ってしまいます。
食べる時は横半分に切ってスプーンですくって食べるのが一般的です。また、凍らせて「冷凍ポポー」として食べたり、バニラアイスクリームと一緒に食べるととても美味しいです。
ポポーが美容に良いと言われているのはなぜ?
ポポーは非常に栄養素が豊富に入っている果実です。特に美容に効く成分が豊富に入っていることで近年注目を集めています。
ポポーはバナナやリンゴに比べて、肌に良いとされているミネラル、ビタミンCが豊富に含まれています。
ミネラルには肌の酸化を防ぐ抗酸化作用があり、肌の老化を食い止めてくれます。
もしミネラルが不足すると、しわ、シミが増える他、代謝が悪くなり太りやすくもなってしまいます。
ビタミンCは、シミやそばかすなどの元となるメラニン色素の生成を抑えるという働きがあります。
さらに、肌の弾力やツヤを維持するうえで欠かせない、コラーゲンの生成を促すという大切な働きもあります。
ミネラル、ビタミンCともに体内で自然に作られる成分ではないので、美容に効く果物ということでポポーに注目が集まっているのです。
参考:Pawpaw Description and Nutritional Information(注:英文サイト 翻訳してご覧ください)
ポポーを育てる前に知っておきたいこと
ポポーは品種の違う木が2本必要

ポポーは1本の木では受粉しにくく、実つきが悪いです。品種の異なる樹を木を2本育て、花が咲いたら人工受粉をしましょう。
品種名がわからないと異品種かどうかわかりませんので、できるだけ確認して購入するようにしましょう。
ポポーは「実生苗」と書かれて販売されている場合があります。
実生苗とは種から育った苗のことで品種名はありません。動物で言うところの「雑種」に当たるからです。
実生苗であれば、品種名がわからなくても2本あれば問題なく果実を収穫することができます。
ポポーは実がつくまで4~6年程度
ポポーは実がつくまで最低でも4年はかかります。
最初の3年程度は木を育て、その後ようやく実を付けてくれます。
じーっくり、気長に待つつもりで栽培を始めてくださいね。
ポポーの育て方
水やり

鉢植えの場合の水やりのタイミングは、土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出るくらいまでたっぷり水をあげてください。
水やりには水の補給以外に、土の中の空気や養分を交換する大切な役割もありますので、十分な量の水をあげる必要があります。
露地植えの場合は、根が広い範囲で広がり、そのうえ地中にある程度雨も染み込むため基本的に水やりは不要になります。
ただ、晴天の日が何日も続き、土が乾いてしまうと水切れを起こし、その後の実つきが悪くなってしまうことがあります。
その場合は、1㎡あたり20~30ℓを目安にたっぷり水やりします。
真夏に降雨がない日が続く場合には、土の状態をよく観察し、必要に応じて水をあげましょう。
肥料
肥料は、一度に大量に肥料を施しても、根が傷むか、吸収されないうちに根の範囲外に流れ出てしまいます。そのため、1年の間に元肥、追肥、お礼肥の3回に分けて施します。
2月に元肥として、ゆっくり効果の持続する有機質の肥料、6月に果実肥大を助ける追肥として化成肥料(チッソNーリン酸PーカリK=8-8-8のものなど)、9月~10月に消耗した木に養分を与えて回復させるお礼肥として化成肥料を施すのが一般的です。
ポポーの植えつけ

ポポーの植え付けは11月~2月(厳冬期を除く)の間に行いましょう。
鉢植えに必要なものは以下の5つです。
・ポポーの苗
・8号の植木鉢
・鉢底石
・果樹用の土(無い場合は野菜用の土と鹿沼土を7:3で混ぜる)
・支柱
2本植えるので、これらを2セット用意します。
まず鉢底に鉢底石を入れ、土を鉢の半分程度入れます。そこにポポーの苗を根を広げながら入れ、さらに上から土をいれます。
支柱を立てて括り付け先端を軽く切り詰め、最後に水をたっぷりやれば完成です。
3年程度で根がはみ出てきたり、水やりしても葉がしおれたり、葉の色が薄くなってきたら植え替えのサインです。
一回り大きい10号の鉢に植え替えましょう。
生長とともに植え替えを繰り返し、最終的13号程度の鉢で管理しましょう。
露地植えの場合は、植え付けの1か月前くらいに直径70cm、深さ50cm程度の穴を掘り、堆肥、石灰、有機肥料を適量混ぜ、埋め戻します。
1か月後、苗木を根を広げながら浅めに植えつけ、鉢植えと同じく支柱を立てて括り付け先端を軽く切り詰め、最後に水をたっぷりやれば完成です。
鉢植えも露地植えも、2本の木は場所があれば5m、なければ2~3mほど間隔を空けて配置しましょう。
ポポーの仕立て方
鉢植え、露地植えともに「変則主幹形仕立て」がおすすめです。
変則主幹形仕立てとは、主幹を途中で切り戻し、側枝を伸ばす樹形の方法です。
ポポーは2〜3年程度は放ったらかしにしておいて、その後主幹を切り戻し、側枝の発達を促します。
ポポーの人工受粉
ポポーはチョコレート色の独特な花を咲かせます。その花は開花の仕組みが特殊です。
花の中に雌しべと雄しべが両方あり、花が咲くとまず雌しべは受粉可能な状態になるのですが、雄しべはそのタイミングでは花粉を出しません。
数日後に雄しべが花粉を出すようになるのですが、その時には雌しべが枯れてしますのです。
ですので、人工受粉をしてあげる必要があります。
雄しべを筆や綿棒で採取し、採取したその日に枯れていない雌しべに受粉させます。
品種がわかっているのであれば、異なる品種同士を受粉させましょう。
ポポーの摘果

ポポーは一つの房に複数の実(2~7果)がなるので、必要に応じて摘果をします。
摘果することで養分のロスを減らし、ポポーをしっかりとしたサイズすることが出来ます。
摘果する実の選び方、順番は以下のとおりです。
①形が明らかに変なもの(奇形果)を摘果
②身が大きくなった時に枝や葉に当たってしまいそうな実を選んで摘果
③まだ残っているなら2~3果になるように摘果
ポポーの収穫
ポポーの実からいい香りがし、触ってみて柔らかくなってきたら収穫適期です。熟してくると木から自然に落下するものもでてきます。それも収穫しましょう。
もし適期よりも早く収穫してしまったら、2~3日常温で追熟してから食べるようにします。
ポポーの剪定

収穫が終わったら翌年のために剪定作業をしておきます。
剪定する場所と順番は以下のとおりです。
①樹の広がりを抑えるように何本かの枝をまとめて切る
②交差している枝や、混み合った枝、枯れ枝、下向きになった枝など不要な枝を切る
③残った枝の先端を1/4〜1/5切り詰める
枝は切ったところから枯れ込んだり、病原菌が入ってしまい生長に影響が出てしまう恐れがあります。
それらを予防するために、太い枝を切った場合には、切り口に癒合促進剤を塗るようにしましょう。
ポポー農家さんからのアドバイス
実に当たりそうな枝や葉があるなら、夏でも剪定しよう
剪定は基本的に冬だけで問題ないのですが、場合によっては夏にも剪定が必要です。
摘果の時に枝や葉に当たらないような実を選んで摘果しても、どうしても当たってしまう場合があります。
成った実に枝や葉が当たってしまうと傷が付き、そこから裂果してしまう可能性があります。
夏でも必要に応じて剪定をしてあげましょう。
樹高が高くなりやすいので、剪定でしっかり管理する
ポポーの樹は樹高が高くなりやすく、何もせず成長させていたら10mを超える大木になってしまいます。
変則主幹形で仕立てること、冬の剪定管理で、高くなりすぎないように調節します。
管理の度に脚立を出して来るのは大変ですし危ないですよね。
また、ポポーの実は収穫適期になると樹から自然に落ちます。木が高すぎると落ちた実が潰れてしまいます。
ポポーの木の樹高は2m程度に調節しましょう。
収穫してから追熟せず、柔らかくなったものを収穫して食べるのがベスト
一般的に、ポポーの追熟は収穫後2〜3日と言われますが、木になっている状態でぎりぎりまで追熟する方が美味しいです。
味覚のことなので個人差がでる話なのですが、一度ポポー農家さんに収穫後常温で追熟したものと、木で熟成したものを食べ比べさせていただいたのですが、木で熟成させたものがとても美味しかったことを覚えています。
より濃厚で、甘みを強く感じました。
収穫してから追熟せず、柔らかくなったものを収穫して食べるのがおすすめです。
身近にポポー農家さんがいなければ、これは自分でポポーを育てている人だけの特権です。
ぜひポポーを育ててこの味を体験してみてください。
まとめ

ポポーの栽培は、人工受粉の作業さえ慣れてしまえば、非常に簡単なものです。
木を植えてから一度収穫を経験すれば、おおよその作業は出来るようになるでしょう。
ただ、少し時間がかかるので気長にゆっくり待つ気持ちで始めてください。
市場に出る数も少なく知らない方も多い果物なので、友人との集まりに持っていってみんなで食べても、お祝いの時のプレゼントにしても喜ばれそうですね。
ぜひ参考にして、ポポー栽培にチャレンジしてみてください。