イチジクの育て方!実をつけるにはどうしたらいい?【プランター・庭植え】
イチジクの育て方とは?

イチジクは栽培管理が簡単で、初心者でも育てやすい果樹の一つです。
また、プランターでも栽培できるため、マンションのベランダでも育てられます。
スーパーなどで販売しているイチジクも十分美味しいですが、完熟させて収穫したものは、甘味・風味・食感がまるで別物。
家庭栽培だからこそ楽しめる完熟イチジクは、イチジク好きの方はもちろん、苦手だった方もイチジクの美味しさに目覚めること間違いなしです。
この記事では、そんなイチジクの育て方をご紹介していきます。
また、イチジクの実をつけるために意識したいポイントについても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
この記事は、お忙しい方のために、目次の見出しを追うだけでも内容を理解できるようにしています。
詳しく知りたい方は、このまま読み進めていただくか、気になる小見出しをクリックしてみてください。
目次
イチジクの基本的な栽培管理

水やり

イチジクは基本的に水を好む性質で、水きれを起こしてしまうと木が弱ったり、実が小さくなったりといった問題が起こってしまいます。
そのため、特に真夏の乾燥期には水きれを起こさないよう注意する必要があります。
庭植え・プランターそれぞれの水やりの目安は以下の通りです。
●庭植え
4月上旬〜11月中旬:土を指で1cmほど掘り、乾燥していたらたっぷりと
11月中旬〜3月下旬:与えなくてよい
●プランター(水やりする際は鉢底から流れ出るまでたっぷりと)
1月上旬〜3月中旬:1週間に1回ほど
3月中旬〜4月下旬:2日に1回ほど
5月上旬〜11月中旬:1日に1回ほど
11月中旬〜12月下旬:5〜7日に1回ほど
肥料

肥料は、一度に大量に肥料を施しても、根が傷むか、吸収されないうちに根の範囲外に流れ出てしまいます。
そのため、1年の間に元肥、追肥、お礼肥の3回に分けて施します。
庭植え・プランターともに12月中旬〜1月下旬に元肥として、油かす主体の固形肥料を施し、6月に果実肥大を助けるため緩効性の化成肥料を追肥します。
お礼肥については、夏果専用種の場合は9月頃、秋果専用種・夏秋果兼用種の場合は10月下旬頃に油かす主体の固形肥料を与えましょう。
鉢の植え替え(プランターの場合)

プランター栽培の場合は、定期的に鉢の植え替えが必要になります。
植え替えをしなければプランターの中が古い根でいっぱいになり、新根が伸びるスペースがなくなってしまいます。
そうなると木の生長が悪くなり、結実も不安定になってしまうのです。
イチジクの木の植え替え方法は以下の通りです。
①イチジクの木を鉢から土ごと抜く
②ノコギリなどで根鉢の上部1cmほどを削り取る
③ノコギリなどで根鉢の下部3cmほどを切り取る
④ノコギリなどで根鉢の側面に5cmほどの間隔で深さ1cmほどの切り込みを入れる
⑤根鉢の表面に出てきた根をハサミできれいに切って整える
⑥新しい鉢に植え替え、水をたっぷりやる
イチジクの木の主な仕立て方
主幹形仕立て

主幹形仕立てとは、新梢を3本だけ残し、やや幅広のクリスマスツリーのような形にする最もオーソドックスな仕立て方です。
比較的コンパクトに育てられるため、お庭のスペースに限りがある場合や、プランター栽培におすすめの仕立て方です。
●主幹形仕立ての仕立て方
1年目の初夏:主幹の先・主幹の左右から伸びた3本の新梢を残し、ほかの新梢を付け根から切る。先から伸びたものを主幹として育て、左右から伸びたものを主枝として育てる。
1年目の冬:主幹は先を軽く切り戻し、左右の主枝は1/2〜1/3切り戻す。左右の主枝を切り戻す際は木の内側に向く枝が出ないよう、芽が外側を向いている場所で切る。
2年目の初夏:実をつけるための結果枝として新梢を3〜4本程度残し、ほかは切る。主幹の先から出るものは垂れないよう、支柱で誘引するのがベスト。
2年目の冬:主幹は先を軽く切り戻し、それ以外の枝は根本から20cmほど残して切り戻す。立ち枝(真上にむいた枝)や下向きに垂れ下がった枝は付け根から切る。
3年目以降の主枝と前年枝の剪定は、2年目と同様に行う。
Y字仕立て

Y字仕立てとは、左右2本の主枝をY字型に伸ばし、そこから結果枝を伸ばす仕立て方です。
結果枝は、フェンスやワイヤーなどを使って誘引します。
左右にのみ伸びるため、奥行きがない場所でも育てられるのがメリットです。
●Y字仕立ての仕立て方
1年目の初夏:主幹から伸びた新梢を左右1本ずつ伸ばし、主枝とする。それ以外の新梢は付け根から切る。
1年目の夏:主枝がある程度生長したら、2本の支柱を斜め60度に立てて誘引する。
1年目の冬:趣旨をそれぞれ枝元から30cm程度のところで切り戻す。
2年の夏:左右の主枝から3〜4本程度の新梢を伸ばし、扇形に誘引する。これらはすべて結果枝となる。
2年目の冬:主枝の先端から伸びたものは軽く間引き、それ以外の枝は3節残して切り戻す。
3年目の夏は主枝から伸びた新梢は左右それぞれ4本程度伸ばし、3節残した枝は1〜2本程度伸ばす。冬は2年目と同様の方法で剪定を行う。
一文字仕立て

一文字仕立てとは、主幹から左右に伸びた主枝を地面と平行に伸ばしていく仕立て方です。
そこから上に向かって結果枝を伸ばし、果実を収穫します。
こちらも左右のみに伸びるため場所を取らないほか、剪定・誘引が単純なので初心者の方でも簡単に作業が済むのが魅力です。
●1文字仕立ての仕立て方
1年目の初夏:主幹から伸びた新梢を左右1本ずつ伸ばし、主枝とする。それ以外の新梢は付け根から切る。
1年目の夏:主枝がある程度生長したら、2本の支柱を斜め60度に立てて誘引する。
1年目の冬
①主枝と新梢の誘引用に支柱を組む。
②主枝を軽く切り戻し、主枝用の支柱に誘引する。
2年目の初夏:主枝1本に20cm程度の間隔で3本ほど新梢を残し、ほかを切り落とす。残した新梢は真っ直ぐ上に伸ばして誘引用の支柱に誘引する。
2年目の冬:上に伸ばした枝を1〜2節残して切る。
イチジクの栽培カレンダー
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イチジクの育て方①:植え付け(3月上旬〜中旬)
イチジクの植え付けは3月上旬から中旬が最適ですが、ポット苗であれば真夏と真冬を除き通年可能です。
ただし、冬でもほとんど霜が降りない温かい地域であれば、11月下旬から12月上旬が最適期となります。
植え付けから本格的に寒くなる前に根を張らせられるため、春からの生育がよくなる傾向があります。
以下では、プランター・庭植えそれぞれの植え付け方法をご紹介します。
プランターの場合

●準備するもの
・イチジクのポット苗
・プランター(8号〜10号程度・根が渦巻き状になりにくいスリット鉢がおすすめ)
・用土(園芸用培土7・赤玉土中粒3に川砂1割、苦土石灰一握りを混ぜたもの)
・支柱(1.2mほど)
・剪定バサミ
●手順
①鉢の1/3〜1/2の高さまで用土をいれる
②イチジクの苗木をポットから抜き、プランターの中心にくるように置く
③苗木の位置が決まったら、隙間を埋めるように用土を入れる
④鉢底から水が流れ出てくるまで水やりをする。土が沈んだ場合はその分用土を足しておく
⑤苗木を高さ30cmほどに切り戻す
⑥支柱を立て、苗木がぐらつかないよう固定する
庭植えの場合

●準備するもの
・イチジクのポット苗
・堆肥、石灰、有機肥料など
・支柱(1.5mほど)
・剪定バサミ
●手順
①植え付けの1か月前くらいに直径50cm、深さ50cm程度の穴を掘り、堆肥、石灰、有機肥料を適量混ぜ、埋め戻す
②1か月後、苗木を根を広げながら浅めに植えつける
③周囲に土を寄せ、水が溜まりやすいよう土手を作る
④土手の中にたっぷりと水をやる
⑤苗木を高さ50cmほどに切り戻す
⑥支柱を立て、苗木がぐらつかないよう固定する
イチジクの育て方②:芽かき(4月下旬〜5月中旬)

春になり新梢が伸びてきたら、芽かきをします。
芽かきとは、たくさん生えてくる新梢の一部を取り除くことです。
新梢の数を制限することで枝が伸びることによる養分の無駄遣いを抑えるほか、新梢が混み合うことを防ぎます。
2年生以上の株の新梢が長さ10cm〜15cmになったら、主枝1本ごとに勢いのよい新梢を3本程度残し、残りの新梢は切断しましょう。
一文字仕立ての場合は、新梢同士を20cmほどの間隔で残すと、この後の作業がやりやすくなります。
イチジクの育て方③:枝の誘引(6月上旬〜7月下旬)

6月頃になると新梢が徐々に伸び、果実の赤ちゃんのようなものも付いてきます。
この時期に、枝の誘引をしておきましょう。
誘引とは、支柱やひもを使って新梢の向きを固定することです。
誘引することで、新梢同士が絡まったり、日当たりが悪くなったりすることを防ぎます。
枝の誘引は、仕立て方によって方法が異なります。
●主幹形仕立て
・主枝の先端部の新梢は垂直に立てる
・勢いが弱い新梢・下に垂れている新梢は60度程度の上向きに誘引する
●Y字仕立て
・新梢を扇形になるよう、均等に誘引する
●一文字仕立て
・残した新梢を真っ直ぐ上に誘引する
・主枝を横に伸ばしたい場合は、主枝先端の新梢を斜め60度に誘引しておき、落葉後に水平に誘引する
イチジクの育て方④:収穫(6月下旬〜10月中旬)

品種にもよりますが、6月の下旬になれば夏果の収穫が始まります。
まずは、完熟しているかを見極めましょう。
完熟果の見極め方は以下の通りです。
・果実はしっかり色づいているか
・果実の感触は柔らかいか
・果実が下向きに垂れているか
わからない場合は、1つ試しに収穫してみて、食べて確認するのもよいでしょう。
収穫する際は、引っ張ってしまうと果実が傷んでしまうため、枝と果実の間の部分を軽くつまみ、上に持ち上げるようにして収穫するようにしましょう。
イチジクの育て方⑤:夏季剪定(7月中旬〜8月上旬)

7月中旬〜8月上旬の間に、夏季剪定を行っておきます。
イチジクは、一般的に1本の結果枝にならせる果実は13個〜15個とされています。
なぜなら、それ以上ならせても果実が成長する前に気温が下がり、完熟させることが難しいためです。
そのため、結果枝は葉を17枚残して切り戻します。
その後夏季剪定した枝から副梢が発生した場合は、先端の2本〜3本を残し、ほかは取り除きます。
残した副梢が50cm以上に伸びた場合は切り戻しましょう。
この残した副梢に、翌年果実がなります。
イチジクの育て方⑥:冬季剪定(11月中旬〜3月上旬)

イチジクの冬季剪定は、夏果を収穫するのか、秋果を収穫するのか、それとも夏果と秋果の両方収穫するのかで方法が変わります。
ここでは、それぞれの剪定の方法を簡単にご紹介します。
●夏果のみを収穫する場合
夏果は、前年に伸びた枝の先端部付近に実をつけます。
そのため、枝先を軽く間引く剪定をしましょう。
ただ、間引くだけでは木がどんどん大きくなってしまうため、コンパクトな樹形を維持するために一部強めに切り戻すことをおすすめします。
●秋果のみを収穫する場合
秋架は、前年の枝から伸びる新梢の各節につきます。
そのため、前年に伸びた枝を2〜3芽残して切り戻しましょう。
●夏果と秋果を両方収穫する場合
夏果と秋果を両方収穫する場合は、間引きと切り戻しを適度に混ぜて剪定します。
混み合ったり徒長したりする部分を優先的に切るなど、木の様子を観察しながら間引くか切り戻すか判断しながら剪定しましょう。
イチジクの実をつけるために意識したい5つのポイント
育てやすい品種を選ぶ

基本的にイチジクは育てやすい果樹ですが、初心者の方には秋に果実がつく品種をおすすめします。
夏に果実がつく品種が悪いというわけではありませんが、収穫時期が梅雨と重なってしまい、病害虫のリスクが高まることから、若干栽培の難易度が上がってしまうのです。
そのため、ドーフィン・ホワイトゼノアなどの夏秋果兼用種、もしくはビオレ・ソリエス、蓬莱柿(ほうらいし)などの秋果専用種を選ぶのがおすすめです。
しっかり水やりをする

イチジクは、比較的水を好む果樹です。
そのため、実をつけるためには土や根が乾燥しないよう、しっかり水やりをすることが大切です。
ただし、水を与えすぎてしまうと過湿になり、根が腐ってしまう原因になってしまいます。気温が高い時期やプランターでの栽培時は乾きやすいため問題ありませんが、庭植えの寒い時期は土の状態をよく観察した上で水やりするよう心がけましょう。
必要に応じて摘果を行う

通常は必要ありませんが、夏果が葉の枚数に対して付きすぎている場合は、摘果を行いましょう。
もし実が多く付きすぎたまま育ててしまうと、一つひとつの実が小さくなり、収穫に至らなくなってしまう可能性があります。
果実の数の目安は、葉っぱ1枚に対して1つです。
それ以上に実が付いている場合は、小さいものや傷んでいるものを優先し、摘み取ってしまいましょう。
日に当たる場所に植え付ける

これはイチジクに限らず果樹全体に言えることですが、日当たりの悪い場所に植え付けてしまうと実付きが悪くなる傾向があります。
そのため、庭植えする際は日当たりのよい場所に植え付けるようにしましょう。
また、プランター栽培の場合も基本的には日当たりのよい場所に設置すれば問題ありませんが、真夏の時期に関しては乾燥による水切れを起こしやすいため、半日陰に移動させるのがおすすめです。
品種に合った方法で剪定する

イチジクの品種には、夏果専用種・秋果専用種・夏秋果兼用種の3種類があります。
夏果専用種は前年に伸びた枝の先端部付近に実がつくため、先端部分を切り戻してしまうと果実が収穫できなくなってしまいます。
一方、秋果専用種・夏秋果兼用種は冬季剪定ですべての枝を切り戻してしまったとしても、春に伸びる新梢から果実(秋果)ができるため、収穫できないという心配はそこまでありません。
簡単に実をつけることを考えるのであれば、秋果専用種・夏秋果兼用種を育て、秋果の収穫を目指すのがよいでしょう。
まとめ

イチジクは、ほかの果樹と比較して栽培管理が簡単なので、初心者でも育てやすい果樹の一つです。
また、年間で実施する作業数も多くないので、忙しい方にもおすすめできる果樹といえます。
ぜひ皆さんもイチジク栽培にチャレンジしてくださいね。